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ヒトノロウイルスの代替としてマウスノロウイルスを用いたテラヘルツ水による不活化効果

東京大学農学生命科学研究科

背景・目的

 テラヘルツ水は様々な細菌や真菌やウイルスが薬剤の化学成分構成に関係なく、薬剤水溶液のpH値の影響を受けやすい事に着目して作られたミネラル水で病原体が不活化(死滅)するpH域を保持し、かつ無刺激で腐食性が一切ないとされる。

 テラヘルツ水(CA-C-01)により細菌、真菌、ウイルス(大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌、カンジタ、O-157、インフルエンザウイルス、マイコプラズマ、腸炎ビブリオ)に対し、4週間にわたり継続して大幅な殺菌又は除菌効果が確認された。特に、現在まで強アルカリのものが最も効果が高いと考えられている。その理由として、特にOHイオン濃度においての還元効果と高い単分子水が細胞膜を通過し、ペプチド結合に働きかけ加水分解することにより発現したと考えられる。

 しかし、ノロウイルス(NoV)に対する影響は不明である。ヒトノロウイルス(HuNoV)は、未だ細胞培養系が確立されていないため、代替ウイルスとして、細胞培養が可能なウイルスの中でHuNoVに最も近縁なウイルスであるマウスノロウイルス(MNV)を用いて、テラヘルツ水の不活化効果を検証した。

 

結果

 3種類のテラヘルツ水とマウスノロウイルスを9:1の割合で混合し、30分、60分反応させた後の抗ウイルス活性を調べた(表1)。その結果、酸性およびアルカリ性のテラヘルツ水は高いウイルス不活化作用を示した。中性テラヘルツ水は不活化作用が低かった。

 高い抗ウイルス効果のみられた酸性及びアルカリ性テラヘルツ水について、時間経過と抗ウイルス活性の関係を調べた(表2)。その結果、特にアルカリ性テラヘルツ水は混和1分後から高いウイルス活性を示した。

 以上の成績より、アルカリ性テラヘルツ水はマウスノロウイルスの不活化に有効であり、その結果は、ウイルス粒子と接触した後、速やかに発揮されることが示唆された。

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