テラヘルツ水およびテラヘルツセラミックの種々のウイルスに対する抗ウイルス効果

酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 獣医ウイルス学ユニ ッ ト 桐澤 力雄

試験概要

腐食性や皮膚刺激性がなく安全性が高いテラヘルツ水とテラヘルツ処理したセラミックの種々のウイルスに対する抗ウイルス効果の確認試験を実施する。

結果

1)テラヘルツ水の抗ウイルス効果

テラヘルツ水と4種類のウイルスを室温で1分、15分、30分および60分間反応させた後の抗ウイルス活性を調べた(表1)。その結果、マレック病ウイルスと鶏伝染性気管支炎ウイルスは混和後1分で不活化された。水胞性口炎ウイルスとカラスポックスウイルスでは15分後に不活化作用が確認された。

2)テラヘルツ処理セラミックの抗ウイルス効果

テラヘルツ処理セラミックの抗ウイルス活性を調べるための予備実験として、テラヘルツ処理セラミックの重量パーセントが10%から50%になるように溶媒として蒸留水、水道水、2%牛胎子血清・20mM HEPES(pH 7.2)加MEMおよび2%牛胎子血清加MEMを用いて調整し、pH試験紙を用いて継時的(混和後1分、5分、15分、30分と60分)にpHを測定した(表2)。対象にはテラヘルツ未処理のセラミックを用いた(表3)。今回用いた4種類の溶媒すべてのpHがテラヘルツ処理セラミックと混和後1分で12.0以上を示したのは、セラミック濃度が40%(w/w)以上であった。各種セラミック濃度と各種溶媒でpHの継時的変化はほとんど見られなかった。HEPES添加により緩衝能が高くなったMEMでは、他の溶媒に比べてセラミック濃度が30%以下のところでpHの値は低かった。これらの成績から、抗ウイルス効果を調べる実験に用いるテラヘルツ処理セラミックの濃度は40%(w/w)とした。対象に用いたテラヘルツ未処理のセラミックでは、溶媒添加後、pHの値は溶媒そのものの値を示した。このことから、テラヘルツ未処理のセラミックは溶媒のpH値に影響を及ぼさない物質であることが明らかとなった。

テラヘルツ処理セラミックの抗ウイルス効果を4種類のウイルスに対して継時的に調べた(表4)。その結果、牛伝染性鼻気管炎ウイルス、牛アデノウイルス7型と牛鼻炎Bウイルス(口蹄疫ウイルス代替ウイルス)では、混和後1分で完全にウイルスを不活化した。牛パラインフルエンザウイルス3型では混和後1分でウイルス価は1/50,000以下に低下したが、生存するウイルスがみられた。15分以上でほぼウイルスが不活化された。対象に用いたテラヘルツ未処理セラミックでは4種類すべてのウイルスで顕著なウイルス力価の低下がみられた。特に、牛伝染性鼻気管炎ウイルスでは混和30分以降で感染性ウイルスは検出されなかった。

考察

テラヘルツ水は、今回対象とした4種類のウイルスを不活化した。しかし、水胞性口炎ウイルスとカラスポックスウイルスでは混和1分後で完全なウイルス不活化は認められなかった。水胞性口炎ウイルスはエンベロープを持つRNAウイルスで、ダニやサシバエなどの節足動物で増殖し、牛や豚を吸血しウイルスを伝播する。症状は口蹄疫類似で法定伝染病に指定されている。エンベロープ蛋白が、哺乳類でのみ増殖するウイルスとは構造が異なっている可能性が考えられた。カラスポックスウイルスはエンベロープを持つDNAウイルスで、野外抵抗性が極めて強く、乾燥にも強い。このことから、短時間ではテラヘルツ水の抗ウイルス効果が発揮できなかったものと考えられた。

テラヘルツ処理セラミックは、今回対象とした4種類のウイルスを不活化した。しかし、牛パラインフルエンザウイルス3型では短時間の処理でのウイルスの完全な不活化はできなかった。試験に用いたウイルス力価が高すぎたためと考えられた。テラヘルツ未処理セラミックでも大幅なウイルス力価の低下がみられたが、その原因の一つとして、セラミック粒子の表面へのウイルス粒子の吸着が考えられた。

 

結論

テラヘルツ水は、これまでに受託研究で調べたウイルスと同様、今回の4種類のウイルスに対して抗ウイルス効果を示した。

テラヘルツ処理セラミックも、今回対象とした4種類のウイルスに対しては抗ウイルス効果を示した。野外の使用方法として、厩舎の床や厩舎周りへの散布が考えられた。

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